こんにちは。
南三陸YES工房でインターンをしていた、川合です。

今回は南三陸の林業を支えている方々がそれぞれの視点で考える、南三陸杉の魅力や課題などについて広報させていただきたいと思います。

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前回の広報では、南三陸YES工房は、木製品の開発を通じて、林業全体、すなわち、森林を管理する林業家(川上)、森から切り出した丸太を加工する製材所(川中)、そしてYES工房のような木工房(川下)といったサプライチェーンを構成するすべてのプレーヤーが潤い盛り上がることを目指していると書かせていただきました。

[前回の記事]
https://yes-factory.jp/minamisanriku_intern2020_01/

南三陸杉の魅力は、川上である株式会社佐久のような森林を管理する林業家や、川中である丸平木材株式会社のような製材所、そして川下であるYES工房のような木工房が互いに繋がっていて、南三陸で完結する【信頼ある林業】が行われていることだと思います。

南三陸では2015年にFSC認証を取得しました。FSC認証とはFSCの責任ある森林管理の規格を満たした認証林から生産されることを指します。南三陸町役場や南三陸生涯学習センターはFSCのプロジェクト認証というものを得ています。プロジェクト認証とはそうしたFSC認証を得た木材が建物の全体の50%以上を占めないと与えられない認証です。なので、川上、川中、川下を担うプレーヤーが連携していないと取得が難しいものだと言えます。

今回はそんな南三陸の林業を支えている方々に下記の項目についてインタビューを通してお聞きしました。

 

【 インタビュー質問項目 】

1.南三陸杉の魅力とは?
2.なぜ川上川中川下で繋がることができているのか?
3.林業全体が盛り上がることでのそれぞれの立場へのメリット
4.南三陸杉の課題とは?

【 今回インタビューさせていただいた方々 】

○株式会社佐久 佐藤太一さん(川上)
-山主や林業家など、主に山の中で森林の管理をされている

○丸平木材株式会社 齊藤浩幸さん(川中)
-佐久などからの丸太を製材し、販売や川下のYES工房などに製材した木材を提供している

○南三陸YES工房 阿部伸さん・大森丈広さん(川下)

最後までご覧いただけると嬉しいです〜!それではどうぞ!

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Q1.南三陸杉の魅力はなんだと思いますか?

佐藤さん
・サーモンピンク色の杉の雰囲気の柔らかさ・強度がある
・FSC認証などで信頼性に繋がる、持続可能な林業を行っていること自体も魅力

斎藤さん
・見た目の良さ。南三陸の木材はサーモンピンクで綺麗な色をしている。

阿部さん
・南三陸杉は(他の木材に対して)木の温もりを一番に感じることができる。ものを作っていても、スプーンやプレートから木のぬくもりを感じられる。

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Q2.なぜ川上川中川下で繋がることができていると思いますか?

佐藤さん
・そもそも(南三陸の林業に携わる)登場人物が少なくつながりやすいからだと思う。他には震災後に、海に負けず山も頑張らないと!という共通の課題感を持っているからこそ、小さくても仕事を一緒に行って繋がりを大事にしている。

・川上・川中・川下がつながっているからこそ「信頼ある」林業ができていて、生涯学習センターや町役場が、木材だけのFSC認証ではなく建物全体として認められたFSCのプロジェクト認証を得て建設することができたのも、信頼ある林業が南三陸で行うことができているからだと思う。

斎藤さん
・震災が大きかったのではないのか。もう一度南三陸町を残したい・住みたいと思って生活している人が多い。自分の住む場所を残すために、南三陸を発信する気持ちが強く、南三陸は、海だけではなく、林業もすごいんだっていうのをアピールしたいと思っている。

・最初の頃はよそ者だったけど(実は齊藤さんは気仙沼からの移住者)、震災をきっかけに、みんなで南三陸町を残したいと思う中で、誰ものけ者にしないという意識があったからこそ、自分の中でも仲間意識が芽生えた。

大森さん
・根底に南三陸の木材の利活用という『共通』する課題があり、林業家(川上)、製材所(川中)、加工所(川下)が連携することで生まれる大きな発信力、開発力が見えてきているから。

・やはり小さい町だからこそお互いの顔が見え、仕事以外でも繋がりが持てていることでコミュニケーションもスムーズである事が理由だと思います。

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Q3.林業全体が盛り上がることでのそれぞれ(丸平・佐久・YES工房)のメリットはなんだと思いますか?

佐藤さん
・林業の性質上、林業全体が盛り上がらないと(佐久が生産している丸太の需要が増えないために)佐久にメリットが生まれにくい。

・どこかから木材のオーダーをもらったが、佐久の手元にない時に他のところ(例えば森林組合)に頼らないといけない。川上の中でも頼ることができないと、(南三陸杉の)安定供給ができずに林業の質も下がってしまう。

斎藤さん
・林業全体が盛り上がることでお客さんが増えることが大きい。丸平のお客さんに合わせた加工を行っているからこそ、お客さんの存在は大きい。

・川中である自分たちと、川下のYES工房がつながることで、YES工房がお客さんのいろんなニーズを拾ってくれるから、ちょっとでもできることならば挑戦できる環境がある。挑戦することで将来的にできることが増えるのは良い。

大森さん
・地元住民の『雇用』と『交流』の場づくりを目指すYES工房にとって、林業全体が盛り上がる事で結果として受注する仕事が増え、継続した場づくりにも繋がる。

・ただ、それだけではなく南三陸の地域資源である『木材(南三陸杉)』の利活用がまだ課題がある中で南三陸の一工房として、そういった課題解決にもつながる取り組み自体に魅力を感じる。

Q4.南三陸の林業で実現させたい理想に向けて、南三陸杉の現状の課題はなんだと思いますか?

佐藤さん
・地域内で南三陸杉を使ったプロダクトを作る企業が少ない。なぜかというと、杉自体の素材が特徴的な魅力があるわけでもないから、「杉=建材」の意識が強くて使い方のバリエーションが少ない。製材品を作るにも課題がある。

・南三陸杉の「良さ」を生かすチャレンジをもっと増やし、マーケティングを行い、プロダクトのバリエーションを増やすことがこれから南三陸の林業にとって必要なことだと思う。

齊藤さん
・山では丸太をランクに分けて整備を行うのだが、木材の需要と供給が追いつかないのが課題だと考える。木材の需要が増えるわけではないのに、山では整備のために(何十年後の将来を見据えて)木を切らないといけない。

・だからこそYES工房や丸平のような直接お客さんを獲得する存在が大事になる。丸平で木材を加工しても売れるわけではないから、時間制限のある中でお客さんのニーズに合わせて丸太を消費していくことが大事。

阿部さん
・南三陸杉の宣伝する場が少ない。少ないからこそ、これから宣伝やPRの場を増やしていきたい。
・杉から家具をつくるという発想が今までになかったために、杉からものづくりする人がいない。自分たちから、杉のものづくりの可能性を増やしていきたい。

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最後まで読んでいただきありがとうございます!
いかがでしたか?

インタビューをさせてもらって、林業という産業自体が、まるで「生態系」のようなネットワークのもと成り立っていて、川上・川中・川下のどこかが悪くなると全体に悪い影響がおよぶし、どこかが良くなれば全体も盛り上がることがわかりました。
だからこそ、南三陸杉を使った製品を作るなど、「挑戦するしかない」南三陸の林業の厳しさとその可能性が感じられました。インターンを通じて南三陸のことだけでなく、林業の奥深さが学べて嬉しい気持ちです。

 

次回は南三陸YES工房にインターンした学生の成果発表を広報させていただきます!
乞うご期待ください。

南三陸YES工房インターン生 川合 佑汰